敬老の日の昨日をもって、本社所属運転士の末端に正式復帰となりました。
「辻川さん。本社の方が色々やらなければならないから大変だよ。まさか給料上がったんだろう?」という同じ年の大先輩運転士。
「時給から日給になって、逆に下がっちゃいましたね。」というと「え〜っ!」と驚かれます。
でも、そうやって長年のプロドライバーさんたちから受け入れてもらい、冗談交じりで突っ込んでもらえる事が何とも嬉しいのって分かってもらえるでしょうか?
仲間として認めでもらえたんだな〜って言う感じです。
私にとっては、JRの仲間たちとの過ぎ去った日々が二度と来ない大切な日々であった様に、今の同僚たちがいて仕事ができる一瞬一瞬が宝の様な日々なのだと思っているのですから。
私をJRの時代から知っている3学年上の先輩は「辻川さんなら一億は貯まっていたろうね?」というので「そうかもしれませんが、とんでもないNG男ですから。」と返しますと「う〜ん。確かにNGもあったね〜。」と笑い合います。色々とフォローして頂いた優しい恩人でもあります。
私にとっては、どの方々も魅力的に見えます。困難を超えながらここにいる歴戦の心優しいドライバーさんたちですから。
さて電車運転士になってから40年にして、バス「運転士」を命じられた私です。ところで、どうして運転手ではなく運転士なのでしょうか?
「士業は『さむらいぎょう』とも呼ばれ、これは『士』を『さむらい』と読むことに由来しています。かつての日本では職能資格を取得した侍が大勢いたことからこの呼び名が生まれました。
士業には、資格を取得していなければ行えない業務があり、無資格者がこれを行うことは禁止されています。」
とありました。例えば弁護士とか税理士と同じ様に、資格が無いとできないのが「士業」という訳です。
JRの仲間たちと、国鉄分割民営化に反対して労働組合を立ち上げた時に、理不尽にも大半が運転士から外されました。
なので私たちの要求の柱の一つが「士職奪還」でございました。
最高裁まで争い、勝ち抜き、2度目の裁判では慰謝料の支払いを勝ち取りました。
でも私たちは、お金以上に大事な事を奪い返しました。
労働者としての人間的誇りと仲間の団結です。
ボロボロのNG男だった私を、復活まで支えてくれた妻があっての思いの深い辞令でございました。