辻川慎一つくば便り

架け橋

昨日は、沖縄の慰霊の日。会場で岸田総理に抗議した人がいたとの報道がありました。

理不尽に身内を奪われた人たちの思いは、追悼の日であるからこそ決して忘れない!とつのる様にも思います。

昨日は、家族で温泉メンテナンスに出かけ、お昼を小さな食堂で頂きました。


旧佐貫町(龍ヶ崎市)と藤代町(取手市)の間に流れる小貝川に架かる「文巻橋」のたもとにある「新富食堂」でございます。



私が昔電車を運転していた常磐線も見えます。


文巻橋の方は、スクールバスを運転して何度か通りました。

気になっていた場所でございます。

「新富食堂」の方は、見落としていましたが、とても古くから営業している様で、老夫婦で営業しておりました。

げんを担いで、カツ丼に、とんかつ定食、カツカレーを頼んでみましたら茨城には珍しく塩分控えめで、とても優しい味が致しました。

とんかつも、東京の有名店の様です。
それでいて、とても安いのです。

とても丁寧な仕事をされているので、みんなで「美味しかったです!また来ます。」と言うと厨房からわざわざ顔を出されました。とても温和で良いお顔をされたご主人でございました。



実はこの橋を舞台にして書かれた小説がございます。


牛久沼の畔に住み、病弱の夫を看ながら、子どもたちを育て、人として、母として差別と闘う小説を書き続けた住井すゑさんの小説です。



国を守るために戦争に動員された夫が、シベリアに抑留されて亡くなったと思われていた。


家を守るために夫の父との間の子どもを産まされた妻。

そこに6年ぶりに夫が生還する。
過酷な戦争とシベリア抑留から帰還した夫の衝撃と夫の無事を喜びながら、どう話せば良いのか分からない妻。

結局夫は別の人と一緒になる。義父が亡くなると、守るために理不尽を受け入れた家に居られなくなった妻。

夫は、妻を思ってはいるのですがどうしようもない。

妻が向かい風を受けながら、子どもの手を引いて文巻橋を渡って行く。

そんなストーリーでございます。

住井すゑさんの代表作は、部落差別をテーマにした「橋のない川」です。

橋のない大きな川は渡れなかった、人と人を隔て続けると言う事を象徴したのかも知れません。

文巻橋は、人の別れの場になった。

住井すゑさんは、牛久沼の畔から歩いてこの橋を渡り、藤代町に買い物に行ったと娘さんが書いておりました。

この橋を何度も渡りながら、戦争、国家、そして家制度の理不尽を生きる人間の苦しみや悲しみの物語を書いたのでした。


その土手にユリの様な花が咲いておりました。「アフリカハマユウ」と言う名前なんですね。

そう言えば「橋」をテーマにした歌がたくさんあります。

人をつなぐための橋は、別れの橋にもなり、新たな旅立ちの橋にもなる。

生きている限りは、理不尽に負けずに歩むしかない。

私たちは、そうやって生き抜いて来た人たちの子孫なんですよね。拠り所は、結局心の架け橋なのだと思います。

https://youtu.be/zEiBNdgHPjw?si=kCa86CBFl97tgOhL

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