辻川慎一つくば便り

鉄道員の小さな奇跡の物語

物語(ストーリー)は全ての人にありますが、狭い「世界」にいて、それが自分の物語の全てだと思わされているのはちっとも楽しく無いと思います。

人の数だけ物語があって、経験も見方も感じ方も違うのですから本当は面白いはずなんです。


頭だけの世界はお金があっても貧しい。心で感じる世界は、無限に広く豊かなのだと思います。


昨日は、60才で一旦定年を迎えた仲間のリトル慰労会をやりました。


国鉄の時代から42年間、色んな事がありました。振り返り切れないほどの事がありました。
語れば尽きないのですが、改めてお互いに語り、整理をしながらまた前を向く訳です。
大切な時間でございました。

(私がいた勝田車両センター。検測車E491の後ろが検修庫です。冬は一際寒く、夏は40度を超える中で電車の検査や修理がされて来ました。)

その仲間は「還暦の誕生祝いに定年の慰労会までやってくれて、本当に嬉しい。」そう言ってくれました。


妻は「まだ、権威だったあなたに遠慮してると思う。水くさい感じがする。」と言うのです。
私は「まあ、一応先輩だから気を使ってくれてるんじゃないかな~。」と言いつつも、逆に自分に水くさいところがあるかも知れないと反省もします。

その仲間を送り、晩酌をしながら「鉄道の映画」を選んで見ました。

韓国の鉄道員家族の物語でした。


韓国唯一の私設駅を作ったと言う実話に基づく映画です。
運転士の仕事一筋で、家族より仕事を優先して妻を亡くし、娘も鉄道絡みの事故で亡くし、息子だけが残る。その息子が、念願の駅を新設するために「幽霊」になって弟を守り続ける姉の助けで頑張り続ける。
後悔の中で、息子に向き合えなかった鉄道員の父がようやく息子に向き合う事で「夢」が実現されて行く。
人生に後悔はある。でも亡くなった人にも、眼の前の家族や仲間たちにも心から向き合える時、そこに奇跡が生まれる。

そんな物語でごさいました。


弟を思いながら事故で亡くなった姉が幽霊になっても「つきまとう」姿を見ながら「本当に愛されるって大変な事なんだよな~」なんて思った次第です。

そう言えば、JRの仲間の一人が「辻川さん幸せでしょう〜?でも、大変でしょう〜!」って言った事を思い出しました。「そうだよな~。ずーっと好き勝手に生きて来ちゃったからね。」と返すと「そんな辻川さんと一緒で、俺たちは楽しかったけど。」と、そんな話しをしてくれました。

本当に愛され思われる事の大変さを、この仲間は知っている訳です。


映画のクライマックスは、心配し続けている恋人に空港で会えた息子が「どうして連絡しないの!」とバッグでいきなり殴り倒される。


「どうして連絡しないの!心配するでしょう!」と私もいつも言われているのと同じでございました。


口先でなく本気で思うから怒る。手もでる。


見せかけがまん延して、見せかけ上の対策が取られ、益々見せかけの関係が広がり、それが当たり前になって行く。


で、生きていても楽しく感じられないから、それが虚偽の餌食にされる。


俺たちは、そう言う虚偽の関係の強制を拒否して来た。


「俺たちもいよいよ終活か〜?」なんて笑い合っていると言うJRの仲間たち。


「裁判判決で勝ったのだから、その前にみんなで乗り越える山があるよね。本気で仲間たちを思えるのかの試練だよ。」と私は笑う。


それは、私が現役の時に仕掛けた「時限爆弾」になった訳です。


人は、その人が生きた様に死んで行く。色んな死を見て来た私の、一つの結論でございます。


終活の本質は、自分生き方、そして心にある。


それ無しには、やはり虚偽になる。

家族や仲間たちへの思いって本気なの?私自身はどうなの?先ずは、自分の胸に聞いて見ろ!って事なんですね。


新しい物語は、そこから始まる訳です。

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