辻川慎一つくば便り

鉄道員は、時々大切な事を思い出させる。

昨日のブログを見てくれた、国労(国鉄労働組合)で頑張っているJRの後輩から、北海道の一番小さな街音威子府にある咲来(さっくる)の紹介をして欲しいとのメールが届きました。


「咲来」なんて、なんてステキな名前でしょう。

実はアイヌ語で「夏の通り道」と言う意味だそうです。

北海道好きは知っているのですが、どうして?

実は、北海道では国鉄分割民営化の時に理不尽な組合脱退圧力に屈せずに仲間たちと国労所属を貫いた多くの労働者がJR不採用にされ、事実上解雇されました。

解雇の理由は、仲間を出し抜かず国労と言う労働組合を抜けなかったから…それだけなんですね。

でも組合の幹部も、政党も解雇は仕方がないから金銭和解を図ろうとする訳です。もう仕方が無いんだ。

でも「解雇は不当だった」と認めない限りは「お父さんの名誉は回復されない!」と勝手な和解に家族が猛然と反対しました。

「私たちの人生を勝手に決めないで下さい!」

国労の臨時全国大会で、壇上から訴えた家族がおりました。

その鮮烈な姿を忘れません。

「咲来」を経営して、音威子府を守り続けているご藤保さんご夫婦が、その人である事を後輩が伝えてくれたのです。


あ~、確かにこのお顔のこの人でした。

逆境に負けず自分たちの人生を、自分たちで決めて貫き続けていたのです。ぐっと来るものがありました。



妻も私も音威子府蕎麦の美味しいお店が大好きです。

地元の常陸秋蕎麦に負けないくらい。
なので、咲来蕎麦も是非食べてみたい。

しかも、理不尽な労働組合破壊に抗って来たのは同じでございます。

私たちの方は、苦節40年。私が退職した後に「労働組合破壊の不当労働行為」が認定され慰謝料を払わせた訳ですが、組合が折れてしまえばそれまでと言う事になります。

しかし、折れずに自分を貫き続けている人がいる。

そんな人が作るお蕎麦。そして羊羹も、

是非食べてみたいな〜って思います。



料理って、人を味わう事だと妻と良く話します。

人柄が出るのです。

ですからファストフードのお店はつまらない。味わうのではなく、食べて腹を満たすだけ。

食べる事を大事に出来ないと、人を大事に思えない。

だから、行って食べてみたい!って思いが久しぶりに湧き上がりました。

めちゃ遠いところにありますが。

妻と選挙の話しにもなります。

国鉄の労働組合を解体する事で、現在の小選挙区制ができたんだよ。労働者の影響を国会から遠ざけて、市場原理で資本蓄積ができる様に。そして、改憲をして個人の尊重も制約する。国家は、国民のものではない。国家のための国民である。

組織のために人がいる。政党のための党員と言うあり方に対して、労働組合のための組合員と言う論理になった時に、労働組合は既に敗北していた。

難しい話しかも知れませんが、私はその様に思っています。

「私たちの人生を勝手に決めないで下さい!」と言う言葉は、そこを痛烈に突いていた。

だから、私の心にもずっと残っていたのだと思います。

思い出させてくれた鉄道員の後輩に感謝しております。




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