辻川慎一つくば便り

輝く瞬間(韓国映画)

「暑さ寒さも彼岸まで」と言われますが、毎年その通りだなって思います。

秋に咲く彼岸花を韓国では「相思花」と呼ぶそうです。花が咲き終わると葉が出てくる。お互いの姿を見る事が出来ないところから、思い合っても会えない。なので相思花と言う名を付けた様です。毒があったりと、嫌う人もいますが、なかなかロマンチックな名前の付け方だなって思いませんか?



その花の様なストーリーを伏線にして、韓国の痛ましい事件を背景にした素晴らしい映画を見ました。


「輝く瞬間」と言う邦題の映画です。


韓国済州島の海女さんが主人公です。

済州島の海女さんの歴史は千年にもさかのぼるとの事ですが、1890年頃から日本にもたくさん出稼ぎに来た歴史があります。

日本の占領から解放された後の1948年には、済州島の島民が米軍を後ろ盾にした独裁政権に対して武装蜂起します。それが徹底的に弾圧されで島民の5分の1にあたる6万人が殺されたと言われます。

その済州島事件で両親を失い、海女さんになろうとした娘を海で失ったと言う海女さんが主人公。


この人ですね。コ・ドゥシムと言う女優さん、撮影当時69才の演技が素晴らしい。現在は73才との事ですが、プロの海女さんになりきっております。


普段は、こんなステキな女優さんなんですね。

この有名な海女さんの取材にソウルから来た青年が、取材を拒絶されながらも海女さんの姿に惹かれて行く。

ある日海女さんが潜水からなかなか戻らないので、心配になり青年が海に飛び込む。ところが海恐怖症だった。かつての水難事故(セウォル号沈没事故を思い出しました。)で、恋人を失い自分は救出された。それがトラウマなのに海女さんを助け様と飛び込んでしまった。

溺れた青年を助けたのは、海女さんの方でした。海女さんの救命措置で息を吹き返す。

それから2人に年齢を越えた愛情が抑えきれなく芽生えてしまう。

最後にはソウルに行こうと言う青年に付いて行くかどうか悩みながら、済州島に残る。

そんなストーリーです。海女さん仲間たちの会話も生き生きとしていますが、何より2人の会話から出て来る言葉がキラ星の様に輝いて胸に沁みて来ます。

サラムシミン サラジメ
生きていれば生かされる

それが結びの言葉となります。
高齢の済州島の海女さんが、ソウルに行って幸せかな?そこに行かずに恋で終わるから、心に残る物語になるのかも知れません。


(スイカズラ。寒い冬でも葉が枯れない事から漢字では「忍冬」と書きます。5月頃から梅雨にかけて、とても甘く良い香りを放ちながら花を咲かせます。筑西市にて。)

私の世界は、息子を亡くしてから色を失っておりました。写真など撮った事もありませんでした。

8年前に、破綻していたとは言え妻帯者であった私は、とてもステキな写真を撮る女性に恋をしました。

それから私もだんだんと花や空の写真を撮る様になりました。

悲しみの世界が色付きはじめたのです。

あり得ない恋だってある。そんな事を思い出しながら「輝く瞬間」と言う韓国映画を見ていました。

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