辻川慎一つくば便り

見えない暗がり。

週末金曜日。
朝から怒っている同僚の運転士さんがおりました。
今日は、その人の担当バスとニ台で同じ工場に行きます。
なので、発車5分前だったのですが様子を見に行きました。

「毎日朝早く出勤で夜遅い仕事。昼間に時間があっても暑くて眠れない。毎日4時間くらいしか眠れない。考えて交番作れ!と言ったら『みんな同じだから』と言った管理者がいる。ストレスが爆発しそうだ!」と言います。

お顔をしっかり見ながら「確かに疲れが顔に出ていますね。労いも言えないバカな管理者ですね。毎日働いている相手の事など考えていないのでしょう。」

とお話しをすると少し落ち着いて来ました。

「疲れているとイライラするのに、余計に腹が立つ。」

「分かります。私も同じですから。」

そんな会話でした。

私の担当は3つのルートですが、私よりちょっと若いその人の担当は10以上。それぞれの道も、停車場も、バスの車種も違うので大変さが分かります。


左側が私の担当バスの一つです。


両サイドに別のバスが停まっています。

夜に帰庫すると真っ暗になるここにバスを入れ無ければなりません。

昼間でも気を使うのですが、視力が落ちて暗がりが辛い高齢者の私。

夜ここに入れる時に、隣のバスのサイドミラーに軽く接触してしまいました。

あまりに狭く「誰でもそうなる可能性がある」と、接触跡を消してくれた若い同僚が言って、駐車場所を変える様に会社に進言してくれました。

結果的には「狭いと思うが他に場所が無い。入れ方を工夫してくれませんか?」との事でした。

私の技量の未熟性にも問題がある事は分かっていますので「できない」とは言わず「二度とぶつけない様にします。」と言いました。

「できない」なら辞めるしかないのでありますから。

なので、夜は他のたくさんのバスが停まっている中、何度も切り返してようやくおさめております。

昨晩は10分もかかってしまいました。

疲れてはいるのですが、誰もいないので難しい車庫入れの練習をさせていただいている感じです。

車庫入れが最後の難関と言う訳です。


(梅雨の時期から初夏にかけて咲くムラサキツユクサが咲いておりました。真夏の様な気温の中での「返り咲き」ですね。)

みんながやっているから「当たり前」と言う人と、みんなが大変だから変えようと言う人とどちらが働く仲間の事を考えているのかは明らかですよね。

みんなの事を考えて言ってくれる人の存在に感謝を伝えながら、自分自身を甘えさせるとそれ以上の進歩はない。

年だからできないと向上心を失えば、それまでの様に思います。

ヘトヘトになりながら、年下の先輩運転士さんたちが、お互いに構い合い、笑いあっている姿を見ると大変な事をやり切って今日も何とか終わったと言う仲間感がある事を感じます。

国鉄時代の昔から、労働の大変さを分かち合い、事故や災害の非常時にはみんなで立ち向かう。そう言うところに命の輝きと連帯が生まれたのだと思います。

だから労働組合の団結も強かった。

今は、お互いの大変さが見えない時代なのかもしれません。

自分だけ大変の世界に入ってしまう。
でも、自分自身の仕事に向き合いながら、人への興味と関心を失わないならば見えて来る事がある様に思います。

見えない暗がりでも、必死に見ていると見えて来るのですから。

あきらめたらそれまでは、同じ事の様に思います。

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