辻川慎一つくば便り

見えないものを感じる。

「梅が咲きはじめましたね。」と語りかけましたら「また寒くなるみたいだけど、このまま春になると良いね。」とシルバー人材から来ている小学校のスクールバスの添乗員さんが言いました。

「若い頃は、春が来て暖かくなると花見だ何だとワクワクしたもんだがね。女性も薄着になって来たりして、そんな事にもときめいたけど、今は何にも感じないよ。楽しいと感じる事が無い。晩酌だけが楽しみだよ。飲み友達も死んでしまった。」

そんな事を語ります。

「でもお酒を楽しめるのは、元気だから。楽しみがあるのは良いですよね。」

と返しながら、女性が薄着になるとときめいたなんてなかなか情緒が豊かな人なんだなーなんて思ったりしました。

ジーパン生地のジャケットを着ておりましたので「ジャケットが似合いますよ。」と言いましたらちょっと喜んでくれながら「暖かいので着てきたんだけど、寒くなって来たので失敗したよ。昔はもっと寒くても平気だったのに弱くなったなー。」と言いました。

250本の牛乳を寒い時も暑い時も配り続けて生活していたと言う人です。長年の疲労の蓄積なのか、膝も痛めているとの事でした。

色んな人生があります。
ほんのひと時交わす話しではありますが、私にはなんだか大切に思えるひと時です。


(庭の梅の木も、ついに一輪咲き出しました!)


今朝は、私のいつもの担当の工場送迎バスでした。

ベトナム人労働者を工場に送ったあと、駅まで日本人等の労働者を迎えに行きます。

いつもの様に、乗車される一人一人のお顔と目を見る様にして運転席から「おはようございます。」と笑顔でお迎えします。もちろん反応は様々です。「お願いします。」とか「おはようございます。」とか言ってくれる人もおりますし、お辞儀してくれる人も、何も言わず下を向いて乗る人もいます。

私の方は、今日も1日大変な仕事に向かう一人一人を気持ち良くお迎えして、無事に送りたいと言う気持ちを込めて言葉をかけていますので、無視される事を気にするよりも丁寧に返して頂ける事の方が有り難いと思っております。それぞれに事情や気分があるのですし。

そして、無事に工場に着き「ありがとうございました。」「行ってらっしゃいませ。」とあいさつしておりましたら、一人の女性に「いつもありがとうございます。これどうぞ。」と飴を頂きました。私の方は、もちろん想定外でしたが「ありがとうございます。頂きます。」と喜んで受け取らせて頂きました。


飴が二つ。


わざわざ用意して渡してくれたのだなと思うと、何だかとっても胸が暖かくなりました。

お迎えする時も、送る時も、停車、発車の時も運転する時には真剣勝負に直ちに切り換えるのですが、乗車降車は一人一人に笑顔であいさつする。一人一人が大切な命であり、存在だから。

そんな思いが、伝わって喜んでくれている人がいたんだ。

でなければ、わざわざ飴をプレゼントしませんよね。その気持ちを受け取った事がとっても嬉しかったのです。

大げさでしょうか?

「目に見えないものを感じられるのが人生を豊かにする。」なんて言うと、宗教の話しですか?と言われそうです。

でも見えないから無いと言う事は、科学的に証明できないのです。科学は万能ではありませんね。

見えないけれども確かにあるものの一番分かりやすいのは、心だと思います。

そして、自分には確かにあるのだけれど見えないのは他人の心。

だから感じるしか無いのです。そして感じ様としなければ、決して感じられないのも心。今生きてある人にしか感じられないのも心。

だから、他の人やあらゆるものの心が感じられた時に、人生は豊かになる。

そうなんだなーって、ちょっと分かりはじめたアバウトな私でごさいます。




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