辻川慎一つくば便り

現代の士(サムライ)

昨夜の乗務の際に「辻川さん、あの通りの交差点でトラックが横転してガソリンが流れてました。あそこは避けた方が良い。」と知らせてくれた同僚の青年が、今朝は運転中のバスに衝突されてしまいました。幸いにケガはしていませんでしたが、事故に他人事が無い世界だとつくづく思い、我が身を引き締め直しました。
考え事をしながら色んな事をやろうとする癖があって、肝心な事が抜けてしまううっかりミスも多いので、他の人の事をどうのこうのと考えるより、自分の事を気を付けなければなりません。


(江戸時代と違い「小判」は届きませんが、昨晩「食べて下さい!」とベトナムのお菓子を頂きました。)
あまり知る人はいませんが2月16日は、国鉄が分割民営化でJRに移行する時に「採用通知」が渡された日です。採用通知が無かった人は、解雇と言う事になりました。それから38年目になります。
私の方は、私自身も周りの人も採用されるはずがないと思うほど、国鉄分割民営化反対を主張して闘っておりましたので、他の仲間たちの事を心配しても、採用されるはずがないとあまり自分の事は考えておりませんでした。
なのでJRに残る事になり、私も周りの人もとても驚いておりました。
最近、その頃から本社の幹部をされていた人から「辻川さんに会いたい。」との連絡が、後輩のところにありました。
今やJRを離れて7年。バス運転士として四苦八苦している身ですので、意外でございました。
国鉄時代だと当局。JRだと会社と厳しく対立していた訳ですが、マイナスにはなってもプラスにはならないのに陰ながら支えて頂いた水戸支社の幹部の人もおりました。
その方に、お礼に伺った時に「辻川さんは、どんな時にも紳士だったよ。」「あなたたちへの迫害は言われないものだった。」と語ってくれました。
どうも私の方は、特に党派の幹部に祭り上げられてからは図に乗ってしまい、紳士とはかけ離れていたなと思うのですが、激しい時代、大変な時代でも、仲間たちの代表として紳士的であったのだなと、すっかり忘れていた事を思い出させて頂きました。
JRは去りましたが、仲間たちの代表的人格であり続けている事も仲間たちが教えてくれます。
たぶん私にも会いたいと言ってくれている人も、何十年経っても同じなのかも知れないと思い直します。
私なんかが…と言うのは、相手の目が節穴だと言う事にもなってしまいます。
利害関係とは別の、人として忘れがたい記憶に残る人がいる。
利害関係が無いところでこそ良く見える様になると言うのは、私自身も分かる様になりました。


(数々の困難を越えながらバス運転士をやりながら、自分の好きと趣味を大切にされている同僚のバス運転士さんが、「辻川さんに」とプレゼントしてくれました。)
そんな訳で、私の方は常識も無く、失礼なところが多々あるのですが、それでも初心に帰り「どんな時にも紳士たらねば!」と自分に言い聞かせている次第です。
仲間たちは、自らの生き方と闘いを通し裁判に勝ち抜いて「士職」(運転士)を奪還しました。

私も電車運転士を外されてから39年。紆余曲折はありましたが「士職」(バス運転士)を取り戻した訳です。

ドライバーではなく、運転士は現代のサムライ(士)なのだと思っております。

辞令には「運転士」とちゃんと書いてある。今の会社のもう一つ良いところだと思っています。気にされている人はいないかと思いますが、今に生きるサムライの仕事なのだと思っています。

その様に表現している国は、日本にしかありませんよね。痩せても枯れても私たちはサムライであるって大事な考え方だと思います。


(私が元JRだと言うので、こんなプレゼントをしてくれた先輩もおります。)

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