辻川慎一つくば便り

単純に人のためになる仕事

今だと信じられない話しかも知れませんが、私は労働組合運動をやろうと思って国鉄に入りました。その決断に一番大きな影響を与えた中野洋と言う人から「お前が書く文章は凄い。俺には無い才能だ。」と言われた事がありました。

とは言え、労働運動や政治党派の狭い世界での話しで、文章を書いて生計を立てるなんて言うレベルではないと思っております。

書いた人と時空を超えて対話できる事に夢中になり、たくさんの本を読んで来た影響が大きいと思いますが、同じ物事や人を見てもちょっとだけ違った見方をして来たのかも知れません。

文章で名を成し、生計を立てている人は凄いと思います。

もう、 30年以上も前に亡くなっておりますが阿佐田哲也(色川武大)と言う作家がおりました。


漫画にも、映画にもなった「麻雀放浪記」と言う小説を書いた作家です。


作家として成功した訳ですが「本当は、郵便配達とか鉄道員とか、そう言う単純に人のためになる仕事がしたかった。」と晩年にぽつんと言われたそうです。

成功とか失敗とかって分からないものだな〜って思います。

なんて言うか、お金とか生計とかを離れて自分がやりたい事をやれると言う事が、きっと幸せなんだろうなと思ったりします。

何かのためにではなく、自分がやりたいと心から思える事をやらないと、世間的に「成功者」に見えても生きていて良かったな〜と思いながらこの世を去れないのかなって思います。


(今日は、小学校の送迎バスです。社員駐車場の端に置かれた古いバスをながめながらのランチでした。どれほどの夢や喜怒哀楽を乗せて来たのでしょうか?)


よこしまに国鉄に入った私の方は、仲間たちや人に恵まれて精一杯労働運動をやり、悲しい事件もあり今度はバスの運転士。

阿佐田哲也さんから言わせたら「単純に人のためになる幸せな人生じゃないか!」って事になるのかも知れません。

まあ、そんなに単純な仕事では無いのですが、人のためになると言う意味では分かりやすい仕事である事を実感する年月ではありました。

まだ5年程度ですが、人生そのものの様に忘れ得ぬ人たち、子どもたちがたくさんいて増え続けているのですから。

出会いと分かれ。人と直に接すると言う意味では、電車運転士よりもバス運転士の方がお互いに顔を見ながらなのでリアルです。両方の経験者だから肌で分かる事だと思います。

それが、一体いくらの仕事になるの?
こんな事をしていくらもらえるの?と考えた途端に、つまらなくなる。不満だらけになる。

測る単位が、円(お金)になって、幸せもお金で測ってしまうからなのだと思います。

チャップリンが「人生に必要なものは、勇気と想像力とほんの少しのお金だ」と言った事を思い出します。

成功してお金を得た有名人だからでしょうか?


(手作りお弁当。今日は一際沁みました。)

物価の上昇と増税が凄いですね。

でも、経済的にだけならめちゃくちゃ大変な時代がありました。

そんな時代には、むしろ生きなければと夢中で頑張るしか無かった様に思います。

自殺者のピークは、バブル絶頂期と重なるそうです。

経済的に「豊か」である事と幸せを感じられる事は別なんだって事を示している様に思います。

若い人や働き盛りの人の自殺者が多い。お金のために、成長のためにって、時代を経て生きがいにならなくなった様に思います。

そのお金で何をするの?
何がしたいの?
何のために生きるの?

とても難しく困難な時代に、特に若者たちが置かれている様に思います。

私たちは、今までと別の大変さに直面している現実も見ないと、孤立化していくばかりでは無いでしょうか?

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