普通に生きる事は大変だけど。
昨日は、小学生の学校送迎の仕事に初チャレンジ。というか私は「ベテラン」であるという事で、1ルート1回限りの見習いでございました。
運転だけなら何とか対応できるまでにスキルアップはして来た様に感じますが、2年間他の仕事に外されている間にやらなければならない事が増えている事に対応するのが大変です。
それらに気を取られていると、基本的な事が抜けてしまう。
見かけの「ベテラン」運転士は、失敗ばかりでございました。
たぶん厳しい仕事をやり切っている周りの人たちは「何だこの人?」「めんどくさい奴だな〜!」って呆れ返った事だろうなって思います。
まあ、それで以前だと落ち込んだと思いますが、呆れ返りながらも注意してくれたり、教えてくれる同僚がいて助けてもらえる有り難さを感じる私がおります。
そしてたった2年前に比べても、こんなに複雑化しているのですから、普通にやる事、普通に生きる事がどんどん難しくなっているんだな〜って事も実感しております。
子どもも大人も、どんどん複雑化する社会と時代を生きているのだと思います。
(ヘトヘトで、気持ちも落ち込みがちながら、帰宅すると妻の手料理で軽く晩酌できる。幸せなんだと思います。山芋の梅醤油麹着け。絶品でした。)
私が見習いについた運転士さんは、私と同じ年。
もう40年もバス運転士をやっていて、十代から付き合っていたという奥さまと添い遂げ、子どもも独立し、孫も9人いるとの事。「俺たちは動ける時間が短くなって来たよ。楽しく、好きな事を辻川さんもやれよ。」と仕事だけでなく自分の好きな世界を徹底的に追求している。しかも老後の蓄えもしっかり残しているとの事。
運転の技術はもちろんの事、全くかなわない人だなって思います。
妻の年を聞かれて「10才下です。」と言うと「加給年金はもらってるんだろう?奥さんが65才になるまでもらえるよ。」と言う。
「そうなんですよね。知らなかったので、申請したばかりです。」と言いますと「ダメじゃないか。役所なんて向こうから払いますなんて言わないんだよ!」とお叱りを受ける。
仲間たちでちゃんと情報交換をしているんですね。
どうも私の方は、自分自身が生き抜く術について疎い事を反省させられた次第です。
(目を痛めたら運転できなくなる。紫外線カットの保護メガネでしっかり守ります。)
学校の送迎バスだと、通勤の送迎バスより終わりが早いのでちょっと余裕があります。喫煙所で一服している貸し切りバスの同僚のわきに腰掛けて話を聞きました。
早朝から夜まで、とても働く人です。奥さんも昼間働いているので「遅い帰りでも、奥さんが食事を用意して待っているのですか?」と聞きますと「女房は、夜もスーパーで働いているからいつもコンビニですよ。」と笑いました。
「失礼ですが、そんなに働くのには事情があるのですか?」と尋ねましたら「借金の返済をしなければならないんだよ。」と言います。
個人事業主時代の負債を夫婦で返しているとの事でした。
「社会保険料金も払えなくなり滞納したら、会社にまで電話して来て『給料を差し押さえる』と言って来た。市役所ってのはえげつないよ。」と言います。
老後の資金まで貯めている同僚夫婦もいれば、借金返済のために働き続けている夫婦もいる。もちろん1人で生活している人もいます。
どの人が幸福であり、不幸なのか。
単純ではないなとしみじみ思います。
借金に追われて蓄えどころか、働き続けなければならない夫婦が、とても相手を大切に思いながら生き抜いているのですから。
共通して言っている事は役所や行政が、ギリギリ生きている人の味方ではない事です。
ヘトヘトでも、妻が心尽くしの手料理で迎えてくれる事がどれほど幸せな事なのかとしみじみ思う私がいました。
羨望でも、同情でもありません。
大型観光バスで「私には無理だ!」って思える狭い道を平然と進む先輩運転士に「凄いですね!」と言ったら「行くしかないから行くだけだよ。」と言われた事もありました。
しかし、決してぶつけない。
運転だけでなく、それぞれの生き方が凄い。
自分自身と社会を見つめ直し、学び直す、有り難い日々が続いております。
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