辻川慎一つくば便り

何のために働くのか

バス乗務のために3時起きして、22時就寝の毎日。昼寝をしないととても持たない67才の運転士でございます。

総務担当の雑務から、運転士に復帰する事で若干ながら年収が増えました。とは言え、JR時代の約三分の一。ボーナス無しが一番大きな要因です。

中小企業の高齢嘱託運転士の現状でございます。年金があるじゃないか?と言われそうですが、それでJR時代のようやく半分程度。しかも年金からも税金が容赦なく引かれます。

働けど、働けどと言うのを実感します。

とは言え、社会の一員として前線で役に立てると言う喜びはあります。「高齢」であっても現役であるのですから。


(何気に、牛久の大仏様もこの世ではがんじがらめの様に見えたりします。)


JR常磐線はよく遅れます。列車が遅れると配車も混乱する。そんな中、暗い構内で、遅れを少しでも減らしたいと急いでいたJRの後輩が、転倒してケガをしたとの連絡がありました。

幸い大事にはならなかったのですが、「ケガをしてしまった私が言うのもなんですが、辻川さんも気をつけてて下さい。」と言われました。

「私もずーっと運転席に座って運転して足がしびれ、バスのステップを踏み外した事がある。他人事なんて思ってないよ。お互いに気を付けないとね。」
とそんなやり取りをしました。

そんな矢先、今朝は降車の際に工場の労働者がステップを踏み外して転倒してしまいました。他の人が緩衝材になったのか「大丈夫ですか?」と声をかけると「大丈夫です。」と言うので一安心した次第です。

高齢でなくても、慌てたりして良く見ないと危ないのは同じなんですね。身体の柔軟性は違うかと思いますが、自分は絶対大丈夫、なんて事はないのです。


(今朝は、氷点下2℃。寒さに震えながらの出庫でした。厳しさに耐えると言うのは、より深い脳の快感のためじゃないかな?なんて思ったりします。)


ベテランがベテランとして重要なのは、成功した自慢話ではなくたくさんの失敗の経験から学んでいる事だと思います。成功よりも失敗から学んで来た人こそ、ベテランの先輩と言えるかも知れません。

昔だと「長老」として、みんなの相談を受けたり、アドバイスをして尊敬されていた人がおりました。

自慢話は、人のための何の役にも立たないので嫌がられるだけなのは、今も昔も変わらない様に思います。

かく言う私も、仕事も、人生も失敗だらけで痛い思いをたくさんして来たのですが、失敗から本当に学んでいるのか?が問われている様に思います。

同じ失敗をするのは、愚の骨頂な訳です。

真のベテランから、信頼と尊敬を受ける長老になっていけるのかどうかは、運転だけでなく人生そのものから厳しく学ぶと言う姿勢が不可欠なんですね。

ギャンブル依存症と言うのは、成功体験の快感を脳が記憶していて、どんなに失敗しても同じ事を繰り返してしまうと言われます。

痛苦な失敗を見据え、考えると言うのは実は難しい事なのかも知れません。
なので、強い意志が無いとできない様に思います。それは、脳の意識的働きになる。

人からの信頼と言う、より深い快感のために失敗を失敗として見据え切る。そして、教訓として生きる。

私も税金を取られてばかりでは悔しいので、より深い快感を求めて生き抜きたいと思います。

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