辻川慎一つくば便り

働く人の目

労働組合の責任者として折れなかったために28才で電車運転士を降ろされてから、24年かけて鉄道職場に復帰しました。

正直に怖かったのは、会社とか、仕事ではなく仲間たちの目でした。

24年間掛けてきた労働組合の責任者が、実はいい加減でどうしようもない奴だったらどうしよう?

笑顔で歓迎してくれましたが、本当は怖いくらいに見られている事が分かっていました。

実際に一緒に仕事をする様になってから、とにかく仲間たちを裏切らない事を一番の念頭に置いてやり抜きました。

それがどうであったかは、仲間たちが知るのみであります。


(勝田車両センター。この庫の中で仲間たちと初めてやる仕事を8年間やりました。)


それから10年後、私はバス運転士に挑戦しました。3年後に自らの失敗で前線から外され、2年間あらゆる仕事をやりました。

そうして再度認められて、本日からの前線復帰であります。

そうです。本来の仕事を外されて復帰するのは人生2回になる訳です。

原因は違えど、いずれも必ず復帰するという思いは一緒でありました。

違うのは、違う仕事をやりながら他の業務の人たちと関われた事。視野が広がり、とても貴重な2年間であったという事です。

収入が激減して、妻には苦労を掛けてしまいましたが、私に取っては大変であっても人生修行のやり直しの様な日々でございました。

有り難い事だと思っています。


(バスを運転しながら、操作するスイッチです。停車する事に選択して押します。研修の時に「高速」を選択しなかったので、速度オーバーにされ、危険運転だと警告が印刷されて出て来ました。)


という訳で、「辻川さん久しぶり〜。痩せたね〜。」と笑顔出迎えられ「身も細る様な日々でしたからね〜。」と笑顔で返しながらも、同僚たちの厳しい目がある事を忘れない私がおります。

仕事、そして自分たちへの姿勢を改めて見ているのですから。

そこに甘さはないと思っています。

実は、それが第二の人生の核心だよなと思います。

同じ様で同じではない。

一人一人のお顔と目を見ながら、丁寧に向き合いながら甘えたりはせず、自分の仕事はきっちりやる。

私に、勝田車両センターの仲間たちが教えてくれた事です。

私には、宝の様な日々が、今も続いています。

大切なみなさん、離れてもどうか無事に、お元気でいて下さい。

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