辻川慎一つくば便り

ちょっとミラクル。

学校の方は、明日23日か24日で今年は終わります。なので学校送迎の運転士さんたちの乗務も終わります。
私が主に担当している工場の送迎バスは、28日の土曜日まであります。日給月給なので、私としてはその方が助かるのですが昨日の土曜日も、来週の土曜日も出勤になります。
2週間連続の6日間勤務は、なかなか重い上、年末のバス整備・清掃がそこに加わってさらに精神的にも肉体的にもハードです。

1台仕上げれば良いのかな?と思っておりましたら、少なくとも2台はやらないと残り作業が他の同僚に行くと聞いて「やるしかない」と、昨日の午後も2時間半前に車庫に行き、一番手のかかる「大物」をやりました。

もう1台分のカーテン洗いとコンプレッサーでの車内の隠れたゴミやホコリ取り、そして車内の天上、壁、荷物棚の拭き上げです。

カーテンの何が大変かと言うと、洗ってからの取り付けなんですね。カーテンの組み合わせがある上、レールが隠れておりますのでフックを掛けるのが大変なのです。見ながらやろうとしても、なかなか見えないのでクビが痛くなりますし、逆光だと全然見えません。

結局手触りでグルグル回ってしまう小さな輪に、小さなフックを掛けて行くしかないのでございます。それが片側90個。



古くて、分からない例えだと思いますが、廃車になった415系電車のカーボンブラシ交換作業に近いものがあります。今の三相誘導モーターと違い昔の直流モーターにはカーボンブラシと言うのが付いていて、それがだんだんと減るので定期(交番)検査で長さを測り、減っていれば交換しなければなりませんでした。

電車の床下で、見えない狭いところに片手を入れて外し、再び取り付ける。やはり見えないところに取り付けるのが、めちゃくちゃ難度が高かった作業でした。

それを思えば、大した事は無い!と自分に言い聞かせながら、こつをつかんて行く訳です。

それでも簡単に行くところと行かないところがあるのも不思議です。腰も背中も痛んできます。

でも、最初にやったバスの時よりはかなり早くできる様になりました。

アナログで手間がかかるバスなんですね。

そして雑巾で車内をくまなく拭き上げる。

暗くなる出庫の時間に何とか間に合わせる事が出来ました。



そして疲れ気味ながら乗務開始。


するとどうでしょうか?
車内の空気感が全然違うのです。なんだか澄んでいて心が落ち着くんですね。

それから、全然関係ないはずなのにいつも道路の凸凹を拾ってギーギー軋む「恥ずかしい」バスなのに、きしみ音までしないのでございます。

なんだかミラクルでございました。
手間をかけ、時間をかけた分、撫でたくなる様な愛着が湧くのが不思議です。

道路は、土曜日渋滞でいつもの渋滞よりひどいくらいでしたが、自分が納得できる運転が出来ました。

日々自分の課題と向き合い、その度に改良を図って来ましたので多少なりとも技量は上がって来たのかなと感じますが、やはり何より心の状態が運転に出るのだと思います。

欲が出たり、急いだり、慌てたりすると危険が増える。ギアも入ってくれない。状況に合わせながら、丁寧にシフトチェンジするとちゃんと入ってくれるんですね。

面倒くさいと思えば面倒くさくなりますが、オートマでは味わえない感覚だと思います。


(父に頂いた焼酎です。)


都市部や大きな会社では、清掃も整備もちゃんと分業化されている様です。茨城は、バス運転士の賃金も低いと同僚たちが言います。

それは、それで改善されないとバス運転士のなり手は増えないのかも知れません。

でも、冷たい水でバスの内外を手仕事で拭き上げたりしているから、なんだか古いバスでも応えてくれているのかななんてミラクルは人任せの中には無い様に思います。

古いバスの相棒と一緒に、古くなって来た私も明日から28日まで、小さなミラクルを感じながら頑張れたら良いなと思います。

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