辻川慎一つくば便り

バス運転士のダンディズム

日々バスを運転する仕事は、とても神経を使い大変な面もあります。だからこそ、ちょっと心が通い合った時に小さな事にも幸せを感じます。

昨日夕方の第一便。ずいぶんと日が延びてまだ明るく、工場内の遅咲き八重桜が綺麗だなと発車まで少し時間がありましたのでスマホで撮る事にしました。工場内の施設や人でなく桜の木なら大丈夫だろうと思い、撮りました。


そしたら運転席の後ろから「綺麗ですね。」と声がしました。え〜、見られてたの?と振り向くとベトナム人実習生の女性でした。そして、自分が撮ったピンクの八重桜の写真を見せて「これは何といいますか?」と聞きます。「綺麗ですね〜。花びらがたくさんあるので八重桜とか、ボタン桜と呼びますね。」と答えました。言葉が通じたかどうか分かりませんが、同じ花を見て綺麗だと感じる心は、同じだと思いました。彼女もそう感じたから声をかけてくれたのだと思います。



今朝の出庫前に、どうもみなさんからは良く思われないやんちゃな青年運転士が、運転席の側窓まで来ました。窓を開けてニコニコしながら「おはよう!昨日は大丈夫だった?」と聞きましたら、返事はせずにあめ玉を2個くれてプイっと行ってしまいました。後ろ姿に「ありがとう!頂きます。」と声をかけるとニンマリしているのが分かりました。


まあ、失礼なやつなんだけど可愛い。
私が嫌いでないから、わざわざあめ玉を持って来てくれるのですよね。

犬も飼っているので、可愛そうな老犬にエサをくれただけかも知れませんが。


会社の出入り口にある木も新緑で美しい。そして、ツツジも咲き始めました。


こんな日の運転はスタートから気持ちが良くて「幸せだな〜」と思います。

朝の乗務を終えてバスの掃除をしていると、今日から一人でバスを運転する事になった自衛官さんが笑顔で話しかけて来ました。「いやぁ、緊張しました。やっぱり一人だと違いますね。」と言うので「そうですよね。分かります。緊張しますけど自分でやり遂げる喜びがありますよね。」なんて話しましたら「別の運転士さんに、辻川さんはダンディですよね。って話したら昔の写真を見せてくれました。ヒゲをつけていて全然雰囲気が違ってたのですね。」と言います。「え〜っ。ヤバいですね。そんな写真が出回っているのですか!」なんて笑いました。

ネット社会って怖いですね。でも今の私は今の私なので、それを見て頂くしか無いのです。元自衛官さんとは、対極の様な世界を生きていたのですが、今は今。私は、同僚のみなさんの過去は大事に思っておりますが、今は日々安全運転に神経を使いながら働く仲間だと思っています。

でも、苦労を全く表に出さず、バス運転士として常に前を向き楽しもうとする元自衛官の隊長さんの積極的で明るい姿勢に生き方を学んでいるのは私の方なんですね。

そんな人に「ダンディ」と言われたので嬉しく思いました。


(わが家の庭の「ナルコユリ」。可愛いですね。食べられるそうですが、見ているだけで癒されます。)

「ダンディ」は、主に外見やファッションを褒める言葉ですが、内面の礼儀正しさや他人への思いやりなどを含めるとあります。つまり結局、心のあり方がダンディさを決めるのだと思います。

ダンディさを貫く生き方「ダンディズム」とは、
着こなしにこだわり、常に洗練されたスタイルを心がける。
丁寧な言葉遣いやユーモアのある会話を重視する。
芸術や文学、音楽など、高い趣味を持つ。
紳士的な立ち居振る舞いやマナーを大切にする。

とありました。

まあ、そうであれば良いのですがなかなかそうは行かないのも現実です。

だからこそ、伸びしろがあるとも言えますね。バスの運転も同じだと思います。

ダンディだとか、運転が上手いとかは自分で言う事でなく毎日目指す事。

その習慣の力である様に思います。
経歴とか年齢とかは関係の無い事だと思います。

さて、これから週末金曜渋滞に臨みます。ダンディで、エレガントな運転士を目指す修行が続きます。

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