辻川慎一つくば便り

長い助走から本当のランへ!

とても暑い日が続いていますが、みなさま無事でしょうか?

熱中症対策の一つには、適度な発汗と言うのがあります。

暑いからとじっとしていれば良いと言う事では無さそうです。

昨年の私は、大量の汗を流しながら外国人実習生の寮の部屋整備をしていたのですが、運転や事務作業で動かない今より体調は良かった様に思います。

運転士と言うのは、神経は使いますが体の方は動かさないので、体には過酷な仕事なんですね。


(水郡線矢祭山駅で、妻が撮りました。)


今日は、動労水戸と言う労働組合の委員長を務めている木村さんのラストランの日です。

木村さんは、1982年に国鉄(現在のJR)に就職しました。国鉄最後の採用者です。

採用された時には「国鉄改革」が叫ばれはじめておりました。

「赤字の原因は、国鉄労働者が働かないから」「労働組合が悪い」と言うキャンペーンが始まっていたのです。

そして1985年には、国鉄分割民営化が決まり1987年4月に国鉄は、新会社のJRに分割民営化されました。

さて、みなさん。
国鉄労働者がたるんでいる。働かない。と言われても木村委員長の世代には何の関係もありません。国鉄が、5年後に分割民営化されてJRになるなんて事も知りません。

高校を卒業して、安定した仕事に就いたかと思っていたのですがサギにあった様なものです。

そんなの聞いてないよ!はじめから言ってよ〜!って思いますよね。

そして、「心を入れ替えて」新会社に行ける様に言う通りにしなさいと強要される。

職場では、悲観した先輩が命を絶つ。

つまり、とっても理不尽な扱いといわれなき迫害を一番受けたのは国鉄最後の採用者だったのです。


(若き日の木村委員長。一番右の人です。辛い仲間たちの思いを背負って、動労水戸の縁の下の力持ちをずっと担ってきました。)


動労水戸の結成は、1986年11月。国鉄分割民営化が1987年4月ですので、その半年前。「国鉄分割民営化絶対反対」が旗印でしたので、マスコミには「今ナゼ?自殺行為」と言われました。

でも40人近い青年が、その労働組合に参加してくれました。

どれほど理不尽で、どれほど怒っていたのかと言う事です。その怒りは、格好良い事を言いながら、さっさと逃げた上の世代への怒りでもありました。

なので、動労水戸と言う労働組合を作らなければ失望して、みんな辞めて行ったと思います。


(今年の3月11日。郡山集会での木村委員長です。)


木村さんは、鉄道の仕事を外されて常磐線東海駅のそば屋に配転させられました。まだ23才の青年です。

組合を辞めれば鉄道職場に戻すけれど、辞めなければずっとそば屋のままかも知れない。

そんな圧力の中で、一番年下でしたし周りの労働者からは可愛がられていたのですが、内心は荒れていたのだと思います。

そば屋がダメな訳ではなく、運転士を目指していた者の見せしめの場にした事が酷かった。しかも望んでもいない若い青年にそれを強いたのです。

結婚話がダメにされる仲間たちが何人もいました。

そんな中で若き木村さんも頑張りながら、実は荒れていた。

遅刻を何回かして、連絡が取れない時もありました。

その時は、私も同じ職場におりました。

当時の駅長が、山崎政虎という凄い名前の人だったのですが「辻川さん。木村さんはクビになる。辻川さんが委員長だから、会社に協力している姿勢を見せてくれれば助けられるかも知れない。」と言う訳です。

「何をすれば良いですか?」と聞きますと「みんなの前で花壇の花キャベツの手入れをしてくれないか?」と言うのです。

「分かりました。」と花壇の手入れを一人で黙々とやりました。

国労だとか、他の労働組合の人たちからは「辻川は狂ったのか?」と言われましたが「組合員を守るためには何でもやる。」それが、私の国鉄分割民営化と他の労働組合の幹部たちへの批判だったのです。何より、ぐちゃぐちゃにされて苦しんでいる仲間を、何としても守らなければならない。

口では何とでも言えます。格好はつけて、他人は悪く言う。しかし、自分からは決してリスクを負わない。

そんなものは、分割民営化反対なんかじゃないと私は思っていました。

誰あろう、木村委員長は私の思いと行動を分かってくれたのだと思います。


私が苦しんでいる時に、助ける事を当たり前にしてくれました。


「何を言ってるんですか?辻川さんがやって来た事でしょう。」

木村委員長が、動労水戸の委員長である意味を分かってもらえるでしょうか?

仲間の悔しさ、苦しさを思い、守るためには何でもする。

例え無理だと言われ様が、そんなのは関係ない。

妻が良く言います。

「動労水戸の人たちは何て良い顔をしてるんでしょう!周りの人たちより断然若いし、見た事ないよ。こんな人たち。」と。

目先の結果でなく、心から信頼できる仲間がいると困難になんか負けない。

そう言う事なんだと思います。
私は、それが労働組合の本当の姿だと思っています。

長い助走から本当のランへ!これからです。

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