厳しい責任。
政治家やテレビのコメンテーターは、分かっているかの様な事を言います。まあ、それが仕事な訳です。
昨日は、山形県の上山(かみのやま)と言う温泉街でバスガイドさんが、誘導しているバスと電柱に頭を挟まれて即死すると言う痛ましい事故がありました。
他人事としてでなく「どうして?」と考えてしまいます。
私の会社では、観光バスだけでなくスクールバスでも介助人の方がバックの誘導を致します。
その際に、会社から厳しく指導される基本が「誘導する場合に絶対にバスの後ろには立たない事。」です。では、競合する他の会社では?と言うと真後ろにいて誘導している場合があるのです。その危険について分かっていますので「あれは危ない!」と分かりますし、新しく入った人にも伝えているのです。
自社で起きた事はもちろん、他社で起きた痛ましい教訓から学び、例え嫌がられ様とも安全に関しては厳しく譲らない姿勢が幹部に貫かれています。
それが輸送業務を担う会社への信頼の一切の土台なんですね。
「効率化は、安全を脅かす。」
私が国鉄、JRで会社に対して言っていた事を、この会社では業務の責任者が言うのです。
私は、自分が言って来た事への具体的責任を、手痛い失敗の中で具体的に問われ続けて来ました。
分かっているかの様に論評して済まない責任ある世界。それが交通運輸業界とそこで働く労働者の厳しい現実なのです。

今回の事故は、「日本三景交通」と言う会社だとも報道されています。
あの東日本大震災で、大きな被害が出た宮城県松島にある会社との事。
震災から立ち直り、地域復興のためにも頑張って来た経営者と会社の様です。社長を先頭に、親切・丁寧と評判も良い会社の様でございます。
その様に頑張って来た企業であっても、この様な事故があれば、死亡事故で社員を死なせた会社として記憶されてしまうのであります。
「家族同様だったので、みんなで大変なショックを受けている。」と言う社長のコメントもありましたが、事故と言うのには必ず原因があり、無慈悲でもある訳です。
まだ真相は分かりませんが、バスの後ろに立たなければ挟まれる事は無いと言う事だけは分かります。
優しさや思いだけではやって行けない厳しい現実があり、負の教訓から絶えず学び、対策をたてて全員にやってもらう。その厳しい責任に立つ人だけが通用する。働く人も乗せる人にも掛け替えの無い命と人生がある。それを毎日運んでいる。
安全安心も、それぞれの夢や未来も、厳しい責任に支えられてこそある。
人を守る事と人間の組織を守る事は、当然の事ながら一体なのだと思うのです。
それは、人間社会の本質そのものの様に思います。

(同僚に頂いた八重のドクダミ。妻がドクダミチンキにしたり、お茶にしたり、食べてみたりしておりますが、生けてもなかなか見事でございます。)
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