辻川慎一つくば便り

孤独な存在だから世界を広げる。

色んな事がありました。労働運動をやろうと国鉄に入り、仲間たちと新しい労働組合を作りJRに移行し、党派の殺人のターゲットにもなりながら子どもが生まれてもろくに会えず、それでも折れずに鬼の様になって立って来た。

小さくはない身体を「いつかは仲間たちのところに戻って、一緒に仕事をする。」との一念で鍛え上げていたので、顔が怖かった上にマッチョだったので、暴力団関係者に誤解されて「スカウト」されたりも致しました。

何気にそう言う方たちの愚痴や本音を聞かされたりもして、面白かった。

まあ、強面でも結構優しいところがあったりするので、近かったのかも知れません。「極左です」と言う私の素性は、相手には理解不能でしたが、私の方は人の世界を広げてもらいました。

私の労働組合は、人種や門地、性別、思想信条で人を差別しないと言う事を原則にしておりましたので、私がヤクザだからと色目で見る事はありませんでした。人としてダメな人と、そうでない人がいるのは、どこの世界でも変わらない様に思います。


(庭の小さな南高梅が、精いっぱい花を咲かせてくれました。良い香りが致します。)


中小企業のバス会社に来ても、私の世界は広がり続けている様に感じます。

元警察官がいたり、前職や生きて来た環境が全く違う人たちが、同僚になる。偏見なんかで見ていても、通用なんか致しません。

面白いと思うのは、新しくバス運転士を目指して入って来る人がバス会社を渡り歩いている人たちでなく、「新たに挑戦したい仕事」として選択して来ると言う事なんですね。

そう言う人たちが入って来る度に、職場の雰囲気が変わって行くのを感じるのです。

昔からこの会社の労働者に関わって来ましたので、時代が変わったなーとしみじみ思います。


(お裾分けのお返しに頂いた九州直送の文旦。とても美味しく頂きました。)


どうも人の名前を覚えるのが苦手で、聞いてもすぐ忘れてしまうので、聞いたら密かにメモる様にして覚えます。

名前と言うのは、覚えてもらえると嬉しい様に、ちゃんと相手に関心と興味を持ち受け入れるスタートの様に思います。

つまり、マナーの土台だと思っています。

親しくなった年下の人なら、ファーストネームで声をかけられる様になるともっと親近感が増します。

なので新人さんが入りましたら、私の方から声を掛けさせて頂きます。

最近入った人は、自衛隊の人でごさいます。

バス運転研修の感想を聞いたりするのですが「自衛隊のトラックとホイールベースの長さが違ったり、ブレーキのタイミングが違ったりとまだまだ伸びしろがあります。」と話してくれます。

目が生き生きとしていますし、仕事への姿勢も凄いと感じていましたら「中隊長でした。」との事。「部下には失敗しても良い。ケガだけはするな。失敗は2度しない様にどうするかを考えろ。と部下には指導して来た立場なんです。」と語ってくれました。

どうりで姿勢が凄い。私が恥ずかしくなるくらいちゃんとしております。

何より自衛隊員の部下にケガだけはするな!って指導に感心致しました。


(寒い時期の水仙の花期って長いのですね。まだ頑張っております。)


ちょっと調べて見ました。中隊長と言うのは昔だと大尉。かなり地位が高く、現場の隊員を日常的実戦的に指揮する立場なんですね。

大体150人くらいの隊員を指揮する立場との事です。

150人と言うのはダンバー数と言って、平均的な人間の脳の大きさを計算し、霊長類の結果から推定することによって、人間が円滑に安定して維持できる関係は150人程度であると提案された数だそうであります。

こちらも面白い。人間はあまり多くいてもまとまらない。150人くらいの目が届き、良い関係が維持できる数の現場の人を指揮できる人。

それが中隊長なんですね。

数的に言うと、私なんかは小隊長でしたからちょっと人としてのスケールが違う訳です。

私がバス会社に来なければ会えなかった人たちに会えて、私の世界がまた広がっています。

世界は、市場原理で人としての社会のブレーキを失い弱肉強食に変わっている様に思います。

人頼み、国頼み、会社頼みではどうにもならない。そして、いずれ一人で死んで行く。

親戚なんてのは、とうの昔に崩壊しておりますね。

実は過酷な現実なのだと思います。

過酷さを嘆いていても、何にもならない。

生きて行くためには、自分で根を張って行くしか無い。

だから、自分がしっかりしなければ誰も気に止めてなどくれない。

と言うか、私が気に止めて行くしか無い。

孤独である事。それをしっかり感じる事が大事なのかも知れません。

仲間たちのお陰で孤独を感じずに済んで、人に甘えて来ただけだなと思い直しています。

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