辻川慎一つくば便り

ひこばえに…

「あんたみたいに奔放に生きて来た人が、今さら何を言ってるの?」
と私を知る仲間たちが言います。

ところが学生時代は、以外にも化学や物理を学びながら本を好む「文学青年」でもございました。まあ、国鉄に入り労働運動を志してからは、そんな事も言っておられず自分をワイルドで大胆に見せる様に変えようとしてきたのであります。

まあ、それも昭和〜なのかも知れません。

昨日は、朝暑くなる前に生け垣のドウダンツツジの刈り込みをやりました。

ワイルドに生きる事を自分に課したためか、そもそもの性格なのかだんだん自分でも分からなくなっておりますが、一昨年はデコボコで無惨だったのがだんだんと丁寧になって来た感じが致します。



「ヘッジトリマー」なれど、真っ直ぐ、綺麗に刈るのはなかなか難しいのですが、全体を良く見ながら刈り込んで行くとまあまあの仕上がりになります。


花期が終わってから枝葉を刈り込んて置くと、来年たくさんの花を付けてくれる事も分かりました。

そして最後に切った幹から出てくる小さな「ひこばえ」を切ります。

ひこばえと言うのは、稲を刈ったあとからまた出てくる稲の事も言います。

樹木の場合、ひこばえをそのままにすると見栄えが乱雑になるだけでなく主幹の栄養も取られてしまうので切除するのが基本なんですね。

ところで、このひこばえも生きているのだよな~と思う。

室生犀星と言う歌人で小説家がおりました。

その人の歌に

ひこばえに哀をいひて別れけり

と言うのがございます。

ひこばえを切るのに平気ではない心情を表しています。

それは、室生犀星さんが私生児として生まれ、他人の養子にされた辛い生い立ちにあったからなんですね。

つまりひこばえに自分自身を見たのだと思います。

それでも彼は故郷の石川県金沢と、そこを流れる犀川の美しさを終生愛した様です。

犀星とは、星降る犀川の情景の事だったのだと思います。

故郷は遠きにありて思うもの…も室生犀星さんの作なんですね。


(クチナシの花も次々と咲き始めて、良い香りを漂わせています。)

バス運転士で一つ違いの同僚が、職人の父親に勘当されて帰る家を失い、婿に入って散々嫌な思いをして来たから「娘婿には、絶対遠慮するなよ。ここはお前の家なんだ。」と言っている。と聞きました。

嫌がられればみんな離れて行くだけだ。自分の父親がどうなったのか分からないが、私のそばにはたくさんいてくれる。孫に小遣いをやるのは大変だが…。そんな話をしてくれました。

自分が苦労したから、人にも冷たくと言うのと、そんな思いはさせたく無いと言う人。

どちらが幸せなのかは、明らかですね。

自分だけが大変な訳でも、辛い訳でも無い。みんな何かしら辛い事があったり、悩みもある。

その様に考えられ、思えるかどうか?
意外とそこで、人は分かれてしまうのかも知れませんね。

父の日に、来年90才になる私の父に電話して「感謝しています」と照れながら伝えたら「感謝なんか良いよ」と言いながら嬉しそうでした。そしたらその後、息子から「父の日だから」と電話をもらいました。みんな誰かの子であります。明日からまた、頑張りましょう!

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