辻川慎一つくば便り

いわきのジョニー

2011年3月11日の東日本大震災と原発事故の後、身一つで福島県いわき市に来て駅前のトイレに泊して労働組合の事務所を訪ねて来たオジサンがいました。

程なく、事故の終息を図る原発関連の仕事に付き、高齢化して今は生活保護で暮らしております。

何があっても、めげる事無く明るい高齢者です。


(万博記念公園のイチョウの木。たくさんの銀杏を落としながら、日に日に色鮮やかになっています。)


都内の有名大学を出て、一時は事業にも成功した事があると言います。

しかし、東大まで出した息子が自殺してしまい、離婚もして全てを無くしてしまった人でもあります。

いわき市に行って「動労水戸の事務所」を訪ねれば何とかなるだろう。

信じられないかも知れませんが、本当に着の身着のままで来た人です。

「これでも学生時代はモテたんだ。高橋真梨子も俺に惚れていたんだ。」と言って自ら「ジョニー」と名のり、JR
の仲間たちから金を借り、風俗関係の若い娘と親しくなったりして心配をかけておりました。

https://youtu.be/XvIpvnOqAqQ?si=txSm-NpFJan13Ds2

それでも仲間たちは、連絡が無いと倒れてはいないかとアパートを訪ねたりして来ました。


私は、茨城県にいるのですが「言い出しっぺ」の責任で、実はいわきユニオンと言う労働組合の組合員でもあります。組合費も納めています。

いわきユニオンの集まりに呼んで頂くと「ジョニー」さんに会えるのも楽しみにしております。

最近のジョニーさんは、高齢者の社交場の公園デビューしたとの事でした。
そして、そこでお酒や果物を振る舞ってもらいながらたくましく、明るく生きているそうでございます。

「辻川さん。その公園で私にお酒や食べものを振る舞ってくれるのは、どんな人だと思います?原発事故の補償金なんかをもらっている人ではないんです。年金生活で楽でない人の方が優しいんですよ。」

とそんな話をしてくれました。

「そうですか!公園にお年寄りたちが集まり、助けあっている事自体も茨城だと見ないですね。」

と私は返しました。

全てを失ったジョニーさんは、人々の助け合い・共同性の中に生きている。底抜けの様な明るさの中に、悲しみや辛さを通り抜けた人の凄さを見たりします。


(「かつら」の葉は丸く、可愛く色付いています。)


長く労働組合運動に携わって来ましたが、そんな時にユニオン(労働組合)と言うのが「会社と闘うためにある」と言う間違いを改めて思うのです。

人として共に助け合って生きる。そこに人としての喜びがある。それを破壊する事で全てを金に変えて行く。その非人間性と闘う中で、壊されない本物の共同性をみんなで築いて行く。

そう言う集まりが大切なんだと思います。これからますますそうなる事でしょう。

私は、何だか色んな仕事を命じられながら、たくさんの労働者に関わるチャンスを得ています。そして色んな事を教えてもらっています。

何と言うめぐり合わせなんでしょうか?

そしてその皆さんが、実は私より賃金が高い。それを話すと「辻川さん。それは酷すぎるよ!」と言っても下さる。

そして、同じ労働者だと分かると、さらに色々話してくれます。



色んな人生がありますが、私たちは労働者として一つなんだと改めて思う日々です。だから労働組合ってとっても大事になっている。そう思います。

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