辻川慎一つくば便り
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夏椿の蕾
朝の出庫前、「辻川さん。今日は観光ですか?」とスクールバスのベテラン添乗員さんがいつもの笑顔で聞きました。
「はい。工場に観光に行くんですよ。」と私も笑顔で返しました。今週いっぱいは、観光バスでの送迎になりそうです。余りに乗り心地が良いので、別れるのが残念な気も致します。
ベトナム人の実習生たちも「凄い!」と喜んでおります。豪華さと乗り心地が違うのは、分かりますからね。
ベトナム人実習生の中に、以前は富士山が見えるレストランで働いていたと言う人がおります。レストランで働いていたので、日本語もかなり話せます。
その人が、とても嬉しかったらしく「今度ベトナムに帰れます。」と言いました。「良かったね!」と言うと「4年も会っていない子どもに会える。」と言うのです。「そんなに会って無いの!どのくらい帰れるの?」と聞きますと「2週間」と言いました。「短いな〜。」と言いますと「ここで3年頑張れば1ヶ月帰れます。」そう言いながら嬉しそうにしておりました。
以前実習生の仕事もやり、多少なりとも話しを聞いて来ましたので、ベトナムでは子どもたちの世話を祖母祖父がやって、働きに来ている人もかなりおります。
日本では見られなくなった家族みんなで助け合いながら生きて行く、と言う生活がベトナムには残っているのですね。
昨日の「観光バス」の夕方2便目は、珍しく乗客がいませんでした。なので約1時間待機になりました。
工場の門前には「万博記念公園」が見えます。前月までは真っ暗でしたが、今では景色が見える様になりました。なので、公園を眺めながら一息着きました。
ふと脇を見ると夏椿の蕾が見えました。
「あ〜もうすぐ咲くんだ。」楽しみだなと思いました。
暑い時期に涼しげに白い花が咲きます。幹もサルスベリの様にツルツルしていて綺麗です。
こんな花が咲くのです。
別名シャラ。インドの沙羅双樹に似ているとの事で、そんな別名があるそうです。
平家物語の冒頭の一節にもありますね。「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」に続き
「娑羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす。」と言う一節です。
娑羅双樹は、釈迦が悟りを開いた際に座ったとされる樹木。
この花の色は、どんなに栄えている者も必ず衰えることを表しているとの事です。
まあ、私が労働組合運動や政治運動で見て来た事も、そのまんまでございました。
成し遂げたと思った後から、どんどん崩れ去って行く。「何十年史」なんてのを残そうと書いたら終わって行くのでございます。
諸行無常なんですね。そこに私たちは生きているのが現実なのでございます。
無常だろうと無情だろうと生を受けたからには、生きなければならない。食わなければならない。生活しなければならない。
考えて見ますと人間以外は、そんな事に悩んでいる暇は無いのでございます。ひたすら生きて、繁殖して、死ぬ。そんな事に疑問なんか抱かないのですね。
(バス車庫近くの「ウツギ」類は満開でございます。)
どうも精一杯、色んな事をやって来て、一体俺は何をやって来て、何してるんだろうって虚しさに襲われるのは、それだけ年を取ってしまったと言う事なのでしょうか?
お釈迦様は、究極のマイナス思考からどうすれば良く生きられるのかの悟りを開いた様です。
人が努力して世のため人のために尽くして名を上げるのが、理想の人生だなんて言う近代的考え方の前提自体が違っていた様にも思います。
家族制度の現実的崩壊の中で、家族的経営や家族的労働組合等も古い在り方になってしまい「なんですか?それ」みたいな現実ですよね。
でも、人は共同性を求める存在です。
新しい共同性は、どこから生まれるのでしょうね。
一人になり、日々の生活のやるしかない仕事と日常の雑事を淡々とやりながら思う事です。
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2025/05/27 14:59
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