辻川慎一つくば便り

遅すぎる花

みなさま、週明け月曜日。
朝の乗務が無事に終わりましたら「緊急ミーティング」がごさいました。

大型バスの後輪と自転車のタイヤが接触して、ケガは無かったものの自転車が壊れてしまったとの事で「左折時には、後輪に注意せよ。」と言う警戒と対策についてのミーティングでごさいました。

大型バスの場合、タイヤ間の距離(ホイールベース)が長い上、後輪の後ろも長いので運転するのが大変なんですね。しかも、運転席が前輪の前にあるのが他の車との大きな違いです。

それでも絶対に当ててはならないと言うのが、当然のミッション。出来なければ辞めるしか無いのでございます。

そんな重いミーティングのあと「辻川さん新しく来たバスの試走をするんだけど運転する?辻川さんがメインに担当するバスだから。」と同じ年のベテラン運転士に言われました。大型バスなので不安はありますが「喜んで、お願いします。」と言いました。


今までよりも大きな路線バスタイプのバスです。


運転士を外れていた期間が2年ほどありますので、実際のキャリアは3年で大型バスを運転してからは4年が経っております。しかも、運転士になりたての頃で失敗ばかりでしたので大型バスにはトラウマがあります。

しかし、いずれ運転したいと思い大型バスをイメージしながら中型バスを運転しておりました。

そして今度のバスはオートマなんですね。オートマのバスは、マイクロバスを除けば初めてです。しかもノンステップバスと言うタイプも乗った事がありませんでした。

ベテラン同僚が簡単に説明してくれてから「好きに走って良いよ。納得するまでね。」と言う。で、恐る恐る走って見たのですが、落ち着いて出来たのでございます。

1時間半ほど工場送迎のルートを走ると「大丈夫だね。さすがベテランだよ。」とOKが出ました。

はい。これで慣らし修了で次に運転する時は本番と言う事になりました。

バス運転士としては、昔と見違える様な自分を、自分が見ておりました。

呆れるくらい遅咲きの花です。たぶん直ぐに、また大型バスで新人さんの研修指導が命じられます。

自分では分からない自分、自分では見えない自分がいて、任せられないと上司や周りが見ていれば無い事なんですね。

私の労働者人生の中で初めての、私の仕事への信頼を感じる「事件」が起きております。


一人暮らしになってから、入り口のナンキンハゼの木に「ただいま〜」と言ったり、今朝は、スダチの木の葉にいたアマガエルに「おはよ〜」と言ったりしております。


寂しいなんて云うことなかれ。無期懲役で獄中にいた星野さんには、そんな自由も無かったよな。私はまだ幸せだと思えるのですから。

さて、そんなこんなと不安に思えば切りが無い。

新人の青年さんが「難コースを運転するのが不安です。」と相談して来るので「不安は分かるけれど、緊張し過ぎると見えなくなってミスするよ。良い緊張感を持てれば大丈夫だよ。君ならできるから。」とそんな話しを致しました。

たくさん失敗して、どん底に落ち込んで、這い上がる様にして今ある私だから言える事があるのだと思います。

そうですね。私が本当にベテランなのは、誰もやった事の無い様な事をして来た人生だった事です。

一人になり、自分の人生を見直しながら静かにバスのハンドルを握り、後輩たちを励まし続けている。

だんだんと説得力が出て来たのかも知れませんね。


(庭の小さな「ヤマアジサイ」も開花しました。)


と言う訳で、遅すぎる花の私。夜の部に行って参ります。

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