辻川慎一つくば便り

田園風景を走りながら

有り難い事に、今日、明日と小学校のスクールバス担当の配車になりました。

停車場が11カ所ある「田んぼ道コース」でございます。何せ田舎のスクールバスですので、それぞれの子が住んでいる家の前と言うのが大半です。

なので、停車場の標識なんて言うのはございません。風景と共に記憶すると言う感じでございます。

最初は戸惑いましたが、3回、4回とやっているうちに慣れて来ました。何せ一度下見しただけで、誰かに付いて走った事も無いのにいきなりやれた自分がいて、バス運転士としての成長を感じた次第です。

配車を管理、指示する人が「任せられる」と判断しなければ無い事なんですね。逆の立場で考えれば、人を乗せて走るのが危険と判断すれば、運転させられない。任せる訳には行かないとなります。

過失で死傷事故が起きれば、会社自体に「任せられない」と言う処分が来てしまい。そこで働く人たち全体が働けなくなると言う事にもなります。

軽く見る事のできない仕事なのです。


(昨年元同僚からたくさんの瓜を頂いて毎日の様に食べておりましたら、全く夏バテしなかった事を思い出しました。まだ、瓜は出回らないのですが地元産キュウリの方はたくさん出ていて安くて美味しいのです。そこで、浅漬にも挑戦致しました。新鮮なカブと一緒につけて見ました。刻んだショウガと一緒に岩塩で漬けました。自家製大葉を刻んで乗せて頂いて見ましたら…美味い!のでございます。素材が良いのですね。)


と言う訳で狭い道にも停車場にも慣れて、景色を見る余裕が出て来ました。早く走る運転士もいる様ですが、私は対向車に気を付けながら、デコボコや段差の衝撃をなるべく拾わない様にほとんど徐行して走りますので、景色も見えれば、ハッとする様に鮮やかに咲く花も見えるのでございます。

そうして見ますと、田園風景の中を子供たちを乗せてゆっくり走れる事への幸せを感じるのです。

ここまで来るのには、決して平坦な道ではありませんでしたが、神経を使いながらも仕事を楽しんでいる自分がいるのですね。

この仕事が好きだなって感じている私がおります。

労働組合も、政治運動も、私の責任と義務としてやって来ましたし、これが自分の仕事だと言えるものも無く、やっている事を楽しむなんて言う事は私の人生ではかなり画期的な事なんです。


(3時起きして、朝食とお弁当も作りました。カジキの切り身にショウガと醤油に浸け置きして焼いたのとステックセニョールと人参の温野菜。イリコやゴマなどが入ったふりかけに無添加梅干し。ご飯は雑穀米と一緒に炊いてあります。見かけがぱっとしないのはご容赦ながら、それなりに材料と調味料を選び手間をかけております。何せ一人暮らし。自分で気を付けなければなりません。)


同僚たちも何だかんだ言って、バス運転士の仕事に誇りを持ち好きなんだと感じます。

でも、大きなミスや事故があればその仕事ができなくなる。命を乗せて走る仕事ですので、そこは厳しいし、甘くありません。そこを甘く見る人は、運転させられなくなります。

ミスが多く再研修を受けた時に、見て走っているつもりで、大丈夫だろうと思っている私に「あんた、これでメシを食って行く気があるのか?あんた全然見てないよ!」と年下の教導運転士に言われた事を忘れません。

2年間青ナンバーバスから外されて復帰した時には、その同じ運転士から全て合格の評価を頂いた時の感激も忘れません。

復帰をシュミレーションしながら白ナンバーを運転して来た事が生きた瞬間でございました。

初めてバス運転士の同僚として認めてもらえたのです。

その後も、日々反省し心構えと技量の向上を図って来て今があります。

まあ、気付いた時には67才を越えておりましたが、それも良しでございます。

どん底であるのが不運でなく、毅然と気高くあれるならそれは幸運である。全くその通りに思える私がおります。


(今朝は、咲きはじめたクチナシの花に「行って来ます」と声をかけて、香りを嗅ぎました。香りには永遠があると言うくらいに表現しようがありません。月並みですが、甘くて上品で良い香りを放っております。)


さて、点呼に行きましたら当直の人が忙しそうでした。後から何があったのか聞きましたら「アルコールチェックがダメな運転士が出て、急遽別の運転士を手配するのにてんやわんやだった。」との事でした。

酒好きの私に取っては全く他人事ではありません。そのために厳罰も受けて、ようやく復帰を果たして身でございます。

息子を亡くし、人生を賭けて来た事から離れ、さらに新しい家族も失い、それでも気高く生き続けられるのか?

自分の生きる姿勢が本物かどうか?実は、お酒に溺れてしまうのかに端的に問われている様に思います。

そこに、人や社会に対する私自身の姿勢や心が現れてしまう。何よりそれは、自分自身の人生を愛せるのかどうかって言う問題の様に思います。

コメント

プロフィール

HN:
No Name Ninja
性別:
非公開

カテゴリー

P R