辻川慎一つくば便り

死者の贈り物

今日は、工場送迎の大型バスの単独運転でございます。バスによってずいぶんと違いますし、オートマの路線バスタイプ。そしてノンステップバスなので、段差があるところでは車高を上げなければなりません。で、車高を上げると時速20キロ以上でないと言うちょっと厄介な操作があります。上げずに段差に乗り上げるとボディが当たり、壊れてしまいます。

オートマなのにクセで、無いシフトレバーに手が行ったり
ブレーキのタイミングが違ったりと慣れるまでちょっと戸惑います。

そして何より内輪差が大きい上、後輪の後ろが長いので特に左折には気を使います。後輪が路肩に乗り上げたり、タイヤを擦ってしまったりします。つまり、左側後輪に気を使いながら、右に振れるオーバーハングで他の車に接触しない様にする。

なかなか大変なんでございます。左折する道路の対向車が、停止線を越えておりますと左折できないので、左折できないと言う判断もしなければなりません。

まあ、中型バスやマイクロバスとは大きさが違うので、気の使い方も違う訳です。

ぶつからない様にしながら、実戦で慣れて行くしかないシビアな世界でございます。

昼間の空いている時間ならともかく、ラッシュアワーを走るので難度も高いのでございます。

とりあえず、朝の乗務は何とか無事に終えて、これから暗くなるのが早くなった夜本番の乗務になります。


朝の乗務と清掃を終えて、急逝した先輩同僚の告別式に向かいました。


お腹が空いたので、久しぶりに山岡家によりとんこつ「朝ラー」を食べる事に。

中盛670円でございます。
硬め、脂少なめでお願いしましたがうーんやっぱり味が濃い。自分で作ったものばかり食べておりますので、とても濃く感じました。ちょっと私にはもう無理って思った次第です。

告別式の会場に30分前に到着。故人の遺影を見ながら待っておりましたら、自衛官さんの顔が見えたのであいさつしましたら「初めにお世話になった人なので、後悔したくない。と思って来ました。」とお話ししてくれました。

会社を辞めた先輩の顔も見えました。「久しぶり〜」なんて、お互いに何だか嬉しい。

いつもこう言う時には必ず参列する会社の幹部も、やはり来られました。

来られる大半の方は、お通夜に参列された様です。


できれば告別式にと願ってました。生前のお姿にお礼と別れができる可能性があるからです。それが出来ました。


息子さんが遺族代表でお礼の言葉を述べながら、泣いてしまいました。「仕事一筋で、良く仕事の話しをしていた優しい父でした。一緒に家族旅行に行った事が思い出です。お父さん、ありがとう。」とそんなお話しでしたが、そう言う人だったなと思い返しながら、私も泣けてしまいました。

きっと息子さんが「ありがとう」と言う言葉を伝えないうちに突然逝ってしまわれたの
だと思いました。

でも、私が聞く可能性ゼロの「お父さんありがとう!」と言う言葉で送られて良かったですね。優しい人でしたものね。そんな言葉を胸の中からかけました。

この世の最後の姿にもお別れする事が出来ました。葬儀場からお見送りも出来ました。

自衛官さんが「せっかく暑い夏を乗り切ったのに。」と言う言葉を聞いて、そうだった刈払機で私が草を刈っている近くで黙々と手で草を抜いていた姿を思い出しました。


家に戻ると、花たちがまだまだたくさん頑張って咲いておりました。


同じ花たちも何だか違って見えます。

花壇にじっと立っておりますと、蝶やら、ツチバチやら、スカシバまで私の周りで忙しなく蜜を吸っております。

何だか新鮮に見えるのは、故人が贈ってくれた涙のお陰の様に思いました。

涙は魂を浄化するのだと思います。死者は、私の魂を浄化してくれる。

それが、死者の贈り物なのかも知れません。

やはり、行って良かった。

ありがとうございました。長い間お疲れ様でした。安らかにお休み下さい。

私が見送りながらお伝えした言葉でした。

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