辻川慎一つくば便り

物事のはじまりは瓦礫の中に

「物事のはじまりは瓦礫の中にあります。やめたこと、やめざるをえなかったこと、やめなければならなかったこと、わすれてしまったことの、そのあとに、それでもそこに、なおのこるもののなかに。」とは、詩人の長田弘さんが残された言葉です。

私と友人の関係自体が、この言葉通りの様に感じます。二人の温泉旅行の2日目もそんな旅でございました。

「疲れたら運転代わりますよ。」と言って頂きましたが「大型バスの研修でも、一日5時間以上走りましたので大丈夫ですよ。」と私が運転。

ちょっと道を間違えながらも、晴れて景色の良い中で最初に寄りましたのがこちらでした。


伊香保温泉からうどんで有名な「水沢通り」を抜けたところにあります。


館長の「ちん子」さんと言う方は、知る人ぞ知るエンタテナーで雑誌などにも取り上げられたり映画にも出演された方でございました。

私の車のナンバーを見て「遠くから来たのですね。」とライブで館内を説明してくれると言う幸運でございました。

風刺が効いたブラックジョークで戦争や核はダメでしょう。性を終生謳歌しなさい。「射程距離よりも射精距離が大事。あんた元気ないね〜元気出しなさい。」なんて思わず笑ってしまうお話しが満載でございました。何十年も廃れずに維持されて来た意味が分かる様な気がしました。

友人のチョイスで、一緒に旅をしなければ一生知らない場所でしたので有り難く見学させて頂きました。

次の観光は…


昭和〜な自販機がある群馬県藤岡市にあるドライブインで昼食。



旅館の料理とは全く違うランチになりました。


私の方は、昭和自販機の天ぷらうどん350円。友人は、自販機ハンバーガーでございました。一端廃れたものに惹かれて、休日にはかなり混むとの事でした。

そして、最後は足利市まで走り廃墟寸前に見える温泉でございました。


入り口自体がタイムスリップしておりました。


かつては賑わったであろう大きなレジャー施設の中に温泉がありました。併設されているやはり大きなゴルフ練習所は、鍵がかけられて終わっておりましたが、温泉と2階の卓球場は営業しておりました。めちゃ古いながら大きな浴槽で、打たせ湯があったり、泡が出る浴槽があったりでしたので出来た頃は最先端を行っていたのかも知れません。
広〜い休憩室が二部屋もありました。

「おばあちゃんたちが揃いのユニフォームを着て卓球を楽しんでましたよ。温泉には、若い人たちが次々と入って来たし、まだ地域の人の寄りどころになってるみたいで安心しました。」と言う友人です。

友人が古いもの、廃れ行くものに愛着を感じる気持ちは、去り行くものに哀れを感じる人の心と同じなのだと思います。

自分もまた限りある命を生きて、諸行無常を知るのが人間でございますから。

だからこそ、生きている事を、性を大切に謳歌しようよって事なんですね。「性」と言う字を生きるに「忄」りっしんべん、つまり心を付けたのは奥深いよな〜って思います。人の生は、心があって性になる訳です。

瓦礫の中の忘れ得ぬ事、忘れた事、そこからなお残った事からはじまる。高齢になってなお生きていると言う事は、そこからはじまるって事なのかなと思います。

なお生きていると言う現実があるだけです。あと何年だろうかと数えて不安に捉えられ、人生100年時代に入っていると言う現実の中で実は誰しもが時代の最先端にいる事が分からない。

どう生き抜くか?と言う事は、実は人間史を貫くテーマであり続けて来ました。

ものの哀れを知る高齢者の生き方は、そのまま後輩たち、子どもたちの生きる力になる。

私は、自分より上の世代、親や先輩たちから学びながら、自分を生き抜いているのですから。「ちん子」館長からも、大きな学びがございました。

なので全てが、ただの瓦礫なんかでは無いのだとも思います。

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